早い段階で治療をスタートし
病気の進行・合併症を防ぐことが重要です
生活習慣病は、食事や運動、喫煙・飲酒、ストレスなどの日常生活が発症・進行に深く関係しています。代表的なものとして、糖尿病、高血圧症、脂質異常症(コレステロール・中性脂肪)、痛風(高尿酸血症)などがあります。自覚症状がなく、じわじわ進行するため自分では気づきにくいのが特徴です。当クリニックにも「年に1度の健康診断でLDLコレステロールが高いと指摘された」とか、「外出先で血圧を計ったら160mmHgもあった」と、驚いて受診される方が多くいらっしゃいます。 症状がないからといって放置していると、全身の血管に悪影響がおよび、動脈硬化をはじめ脳卒中や心筋梗塞など命にかかわる病気が起きやすくなります。早い段階で治療を始めることが大切です。
高血圧症
医療機関で測定した血圧値が、収縮期血圧140mmHg以上、または拡張期血圧90mmHg以上(140/90mmHg以上)の状態を高血圧といいます。自宅で測定する家庭血圧の場合は、135mmHg以上または85mmHg以上(135/85mmHg以上)です。高血圧の状態では心臓への負担がかかり、心臓のポンプ機能が弱まり、全身に血液を送ることが難しくなります。動脈硬化も進行するため、心筋梗塞や脳卒中といった心・血管疾患のリスクのほか、腎臓への影響も高くなります。 血圧は1日のなかで変動しており、夜間や早朝など時間帯によって高くなったり、仕事などでストレスがかかったり、食習慣の乱れ(塩分の過剰摂取など)によって高くなるなど、さまざまなケースがあります。そのため、健康診断で異常はなくても見逃されてしまうことも多いのです。 高血圧を早期に発見し治療効果を正確に把握するには、病院でのデータに加えてご家庭や職場など普段の血圧を調べることが大切です。当クリニックでは、自宅での血圧計測を勧めています。家庭血圧と心血管疾患の発症リスク
病院で測った血圧は良好でも自宅で測った血圧が高い「仮面高血圧」は、心臓病や脳卒中を起こしやすいことがわかっています
脂質異常症(中性脂肪/コレステロール値異常)
脂質の代謝がうまくおこなわれず、血液中に悪玉コレステロール(LDL-C)や中性脂肪が増えている状態です。脂質異常というと「太っている男性によくみられる疾患」というイメージがあるかもしれませんが、遺伝的な要素やホルモンの減少といった、体の機能に起因する場合もあるため、やせている人や女性にも多くみられます。 脂質異常症には、悪玉コレステロールのみ増える「高コレステロール血症」、中性脂肪のみ増える「中性脂肪症」、両方が増える「複合型の高脂血症」、余分な脂肪を排出させる役割をもつ善玉コレステロール(HDL-C)が減少してしまう「低HDL-C血症」があります。いずれの場合も、古くなった脂肪(プラーク)が血管の壁にこびりつくことで血流が悪くなり、動脈硬化が進みます。そのため、心筋梗塞や脳卒中などのリスクが高くなります。高尿酸血症(痛風)
尿酸は体内でできる老廃物のひとつです。血液中の尿酸の濃度が高い状態を「高尿酸血症」といい、診断の基準は、尿酸値7.0mg/dL以上となります。進行すると痛風をはじめ様々な合併症を招き、心筋梗塞や脳卒中などを起こす危険が高くなります。高血圧や糖尿病などと密接に関係していて、尿酸値を下げるために生活習慣を改善すると、そのほかの病気の改善にもつながります。過去に一度でも痛風発作を起こしたことがある方は、薬による治療が必要です。メタボリック症候群(内臓脂肪症候群)
お腹まわりに脂肪がつく「内臓脂肪蓄積型の肥満」をもつ方が、高血糖、高血圧、脂質異常症といった症状を重複して抱えていると、動脈硬化のリスクが高くなることがわかっています。このような状態にあることを、メタボリック症候群といいます。診断の基準としては、ウエストのサイズが男性85㎝、女性90㎝以上、それ以下であってもお腹が出てきたら要注意です。さらに血糖値、血圧、中性脂肪および善玉コレステロール(HDLコレステロール)値のうち、2つ以上の項目で問題があると、メタボリック症候群と診断されます。患者さまの日常を詳しく知ることが、
本質的な治療につながると考えています
治療を進めるうえで大切なのは、そこにいたった背景や原因としっかり向き合うことです。
生活習慣病は、過食・運動不足・飲酒・喫煙・ストレスなどが主な原因ですので、日頃の食事、仕事環境、運動習慣や睡眠時間など、患者さまにお伺いしたあらゆる情報が、治療方針を決める重要な手がかりとなります。また、からだの状態を正しく把握するために、血液検査や尿検査のほかにも超音波検査や動脈硬化を調べる検査など、患者さまの病状に合わせて詳しい検査を実施しています。
当クリニックでは患者さまと密にコミュニケーションをとることで、状況に応じたアドバイスを行い、症状に応じてお薬を用いて治療をします。
お薬を処方する場合も「1日3回食事とセットで飲むほうが忘れにくい」「仕事が忙しくて食事が不規則のため朝1回にしたい」など、患者さまのライフスタイルを重視し、無理なく続けられる治療法を提案します。
からだの変化を見逃さない
「的確な治療」のための「適切な検査」
血管の硬さ・血管年齢をはかる動脈硬化(血圧脈波)検査、血管の厚さやプラークの有無を確認する頸動脈超音波検査など専門検査機器を完備しておりますので、いずれも院内でお受けいただくことが可能です。
血圧やコレステロール、尿酸値などで異常があるかたは受診をおすすめします
基準値の目安
血 圧 | 140/90mmHg以上 *家庭血圧(起床時)では135/85mmHg以上 |
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LDL(悪玉)コレステロール | 140mg/dL以上 |
HDL(善玉)コレステロール | 40mg/dL以下 |
中性脂肪 | 150mg/dL以上 |
尿酸(血清尿酸値) | 7.0mg/dL以上 |
上記のほかに、
- ・以前に痛風発作を発症した
- ・過去に治療を中断した
- ・アルコールが好きで毎日晩酌する
- ・塩分 / 脂肪分の高い食べ物が好き
- ・通勤や日常の行動以外での運動をしていない
- ・糖尿病、高血圧、脂質異常症(高脂血症)、腎臓病、睡眠時無呼吸症候群の診断を受けている
- ・最近太ってきた / いわゆるメタボ体型である
生活習慣病 全般
高血圧、脂質異常症(高LDL(悪玉)/低HDL(善玉)コレステロール血症、高中性脂肪血症)、痛風(高尿酸血症)、骨粗鬆症、メタボリック症候群(内臓脂肪症候群)、脂肪肝 など
当クリニックでは、こだわりレシピの料理教室や日々の治療に役立つ公開講座を随時開催しています。日頃の診療ではお伝えしきれないこと、病気の知識などを医師や管理栄養士がわかりやすくお話します。